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所長の部屋『ゲスト:阿部英之さん(第2話)』


第二回目のゲストは、


阿部 英之(あべ ひでゆき)さん


秋田県羽後町出身、羽後町在住

大学卒業後、秋田市で就職。現在はサラリーマンから転身し、国の登録有形文化財にも登録されているご実家「阿部家住宅」を改装したカフェ兼農家民宿【阿専】を経営されています。


今回は研究員の播磨菜月(国際教養大学 4年生、2021年4月から7月末での期間、NPO法人みらいの学校でインターンシップ中)と一緒に、阿部さんにインタビューしました。


第1話は、高校や大学の進路選択、就職から起業するまでのお話しを中心にお聞きしました。


まだご覧でない方はコチラから


第2話は、阿専を始められてからや経験から過去の振り返りに迫ります!


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所長)起業を考えるきっかけは、友人との会話ということでしたが、会社を辞めて起業するというのはかなり大きな決断じゃないですか。なぜその決断ができたんですか?


英之さん)高校時代バスケットボールに打ち込んだ経験や、社会人になってから辛い時期を乗り越え頑張ってこられたことなどで、自分は何をやっても大丈夫だと自信がついていましたから、この先、厳しい状況となっても乗り越えられるという気持ちがありました。次の行動に移る時の潔さも決断の後押しをしたと思います。


所長)やればできるということですね。


英之さん)そうです。ですが、生活や稼ぎのこともありますから色々な人の反対もありました。しかし、反対する人はやったことがない人で、応援してくれる人たちは挑戦したことがある人だと思っていましたので、反対意見はあまり気にならなかったです。


所長)家を守っていくと決めた時は、誰かに相談しましたか。


英之さん)建築関係の相談はしていましたが、家を守るという決断は一人でしました。もともと人に相談しない方で、他の人からのアドバイスも「そういう考えもあるよな」くらいで、あまり左右されないタイプなので。



所長)他人にアドバイスを求めるかどうかの基準は人それぞれかもしれないですし、アドバイスを求めることと、そうでないことがあったりしますよね。


英之さん)相談というより、悩んでることを少し聞いて欲しい時、話を聞いてもらうことはありますね。


所長)人に相談する段階って、既に自分の中で結論に近づいていたりしませんか?


英之さん)うんうん、分かります。


所長)もう決定ボタンに手をかけてるんだけど、最後に押すかどうかを聞いているみたいなことだったりして。


英之さん)そうですね。考えがある程度まとまっていないと人にも話せないですし。


所長)あとは反応を見たいというのもありますね。私は賛成意見と反対意見の両方を聞かないとやらないということもあります。


英之さん)後押ししてくれる人が多ければ良いような気がしますが、反対意見も大事ですよね。


所長)何事にも予め反対意見があることを分かっていたら気持ちも楽になりますからね。


英之さん)分かります。会社に勤めていた時は、みんなが会社や事業の目的に向かい前を向いているので気付かなかったのですが、起業してからは目的を話す側になったので、反対意見や無関心の人達の存在がよく見えるようになりました。昔は「人なんてすぐ裏切る」という言葉が嫌いだったのですが、あながち間違いじゃないと思うようになりました。

そういう厳しさもあることは播磨さんに伝えておきますね(笑)



菜月)覚えておきます(笑)

昔からあまり相談しないということでしたが「あの時、あの人が言ってたことやっていたら良かったな」ということはありましたか?


英之さん)どうかなぁ、あまりないと思います。でも、親とはもっと話をしたかったです。色々教えてもらいたかったですし、相談もしたかったです。


所長)あまり相談しないというのは、昔からですか?


英之さん)そうですね。小学生の頃から真面目な悩みを持っているようなキャラではなかったので(笑)。あと、相談する段階では大抵自分の考えが決まっているので、それを上回るような答えをもらった記憶がないというのもあります。結局最後に決断するのは自分なので自分の考えで動くのが一番良い決断だと思っています。


所長)自分の決断を信じるというのが、実は一番納得できるということはありますね。


英之さん)そうですね。ただ、自分の進んできた道が正解かどうかっていうのは分からないです。辞めたことで新しいことが見えてくるかもしれないし、長く続けていれば上手くいくこともあるかもしれない。



所長)出来事の局面一つを見たら失敗かもしれないけれど、その失敗があったからこそ肯定できる未来もありますよね。それでも失敗したくないという気持ちが挑戦していく中での障害になると思いますが、そういう面で言うと起業される時は奥様やお子さんがいましたよね?


英之さん)家族を路頭に迷わせる気かとよく言われてました(笑)。


所長)相当なチャレンジですからね。今の自分の気持ちとしては、当時の決断をどう感じていますか?


英之さん)やって良かったと思います。会社勤めを続けていた人生と比べることはできないですが、今の仕事をしていることが自分ですからチャレンジして良かったと思っています。もし過去に戻ってやり直せるとしても間違いなく今の道を選んでいます。


所長)どちらの選択をしても何かがあるということはありますからね。


英之さん)そうなんです。どっちに進んでもそれが自分なので何が正しいっていうのはなくて、会社勤めを続けていたら何か別の心境の変化があったかもしれないです。経験から言えることは、起業する決断をして良かったですし、今の方が健康的だし楽しいということです。



菜月)今の仕事はどんなときに楽しいと感じますか?


英之さん)まず気持ちに余裕ができましたし、色々な人と話せることが楽しいです。お店に来てくださるお客さんは私に興味を持っている方も多いので、事業を始めた経緯を話して「すごいですね」と言ってくださる声や「羽後町って色々なことをやっていて羨ましい」という声も聞けて楽しいです。でも、楽しいだけじゃなくて生活していくという大変さもありますからね。


所長)そうですね。

昔の自分にアドバイスするとしたらどのようなことを伝えたいですか?


英之さん)色々なことをやった方が良いよと言いたいです。昔は一度会社に入ったら一生そこに勤めるといった考えがあったと思うのですが、触れられる知識も人間関係も大きく広げた方が自分のためになると思います。働きだした頃は辛さを我慢することが多かったですが、心が病むまで我慢しなくて良いんじゃないか。限界を超えると人格まで変わってしまうので、そこまで我慢しなくても、色々なことを試しながら自分の居場所を見つけたら良いよって言いたいです。


所長)振り返ると、それも良い経験だったと思いませんか?


英之さん)そうなんです。あの経験を乗り越えたことが自信になってます。でもあの経験をもう一度自分にさせたいかというと、やっぱりさせたくないですね(笑)


所長)親は自分がした苦労や辛い思いを子供にさせたくないという話を耳にしますが、お子さんに対して思うことはありますか?



英之さん)やはりそうです。子供に辛い思いはさせたくないですね。


所長)ここに矛盾があったりするんですよね。


英之さん)そうなんですよ、矛盾してるんですよ。厳しいことを乗り越えると自信が付くので挑戦して欲しいと思いますが、度が過ぎるとといったことも考えてしまいます。私は当時の経験があったので大丈夫だという自信がつきましたが、それを自分の子供にも経験はさせたくはないので、難しいところですね...。


所長)もしお子さんから、親目線で見ると厳しそうな決断に挑戦したいと言われたらどのようにアドバイスされますか。


英之さん)もちろん、やった方が良いと言います。私の人生で一番後悔しているのが、大学でバスケットボールを辞めたこと。理由を付けて好きなことを辞めてしまったことです。この話を例として、子供には自分のやりたいことに嘘をつくなと教えています。本当に嫌いになったら辞めても良いけど、たとえ下手でも自分で自分の限界を決めて好きだという気持ちに嘘をつくなと言っています。なので、子供がやりたいと言うならその挑戦を後押しします。


所長)なるほど素敵ですね。一般論として、高校生までは比較的敷かれたレールの上を歩いていて、部活動など好きなことに打ち込めるものがあるのですが、大学生になるとそれがなくなって自分で作っていかなければならないということがあります。なので自分を見失いやすい時期なのかなと考えることがあります。そのような状況で、なかなか自分の好きなことを見つけられないことや、やってみたいことがあっても決めきれない人も多いと思います。そのような時はどのような経験をすれば良いと思いますか?


英之さん)楽しそうだと思ったことをやれば良いと思います。今の仕事を始めたきっかけは友達から言われた言葉でしたし、やることが「何か面白そう」と思ったことでしたので。


所長)なるほど。


英之さん)あと、友達と一緒に始めれば、小さなことでも良いんですがやれそうな気がしませんか。



菜月)はい、楽しそうだと思います。


英之さん)気心が知れている人と一緒にやれれば楽ですし、堅苦しくないので始まりはそういうので良いと思います。一歩踏み出しやすいですし、始めたらその先に色々見えてくるのではないかと思います。

一歩踏み出すことはすごく怖いんですが、自分が気楽に始められるやり方で、そこまで重く考えずにやるのが良いと思います。


所長)大事なことですね。

最後になりますが、英之さんの考える後悔しない選択軸はありますか?


英之さん)なんだろう…。人を裏切らないことと、途中で中途半端に辞めないことですね。最初は自分に合ってないかもしれないと思っても、実際やってみたら人との繋がりもできてきて面白いと思うかもしれないですし。よく『とりあえず一歩踏み出してみる』と言いますが本当にそうだと思っています。踏み出してみないと分からないこともあると思いますし、意外と自分が動けば周りや物事も動き出すと思います。そうやって積み重ねたものが今の自分を作っていくので、まずは一歩踏み出してみればおのずと良い方向に向かうのではないでしょうか。

播磨さんも今だって一歩踏み出して羽後町でインターンシップしているんですよね。



菜月)そうです!


英之さん)迷う時期もあると思いますし、そんな時は周りが見えなくて自分が置いて行かれているような感覚になるかもしれませんが、そのようことは誰にでもありますし必要なことだと思います。私もモヤモヤしていた時期がありましたが、それは楽しく生きるための準備期間だったと思います。そういう時期って人に対しても丁寧に接することができますし良いことだと思います。モヤモヤしているのは考えている証拠ですからね。


所長)そうですね、常に考えながら生きていくのが理想的ですね。

本日はありがとうございました。



取材日:2021年6月15日


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